こんにちは。ドムスデザインの戸倉蓉子です。
本格的な空き家時代に突入します。
10年後も満室経営の賃貸マンションにしていただきたくお届けしています。
今日は「大家さんの心 その2無駄をつくろう」
私がイタリアで暮らしている頃、イタリアのマンションと日本のマンションの決定的な違いを発見しました。
それは、何だと思われますか?
イタリアのマンションには無駄が多いのです。
それに比べて日本のマンションには無駄が無い。
これは基本的に建築基準法の違いとマンションを造る際に何を思って設計するかという根本的な違いにあると思います。
イタリアでもミラノの大都市では東京と同じように土地がありません。
でも必ず中庭があったり上を見上げると屋上庭園があったりとにかく目に楽しいです。
私が家から学校に通う道でミラノの街並みを見ながら歩いていると、車止めの石に体当たりして足には青アザが絶えませんでした。
なぜなら上を向いて歩いてばかりいたから・・。
そうです。マンションの屋上が緑やツボや・・・美しくて 楽しくていつも見とれていたのです。
どんな人があそこに住んでいるんだろう。
そんな事を考えながら歩いては車止めにぶつかっていました。
イタリアの建物は道路からマンションの入口までには、必ず門扉と狭い通路があり門番がいます。
その門番に来訪の旨を告げると、セキュリティが解除され中に入れるのですが、外から見て美しい中庭にどうしても入りたくて、門番と仲良くなって中庭まで入れて見せてもらったこともありました。
中庭には水の音や緑のそよぎ、鳥の声があり、その中庭に面して部屋の窓があります。
外の光を中庭を通して室内に取り込む間取りになっています。
この美しい雰囲気を何とか日本でも造れないものかと考えて、デザインした賃貸マンションが世田谷区経堂の La Bella Vita(ラ・ベッラ・ヴィータ)です。
イタリア語で美しい人生。
イタリアのマンションにある無駄を日本のマンションにも取り入れてみました。
どんな事が日本のマンションにおいて無駄と思われるか、でもイタリアでは無駄でなくて大切な街の要素になっているものを、このマンションLa Bella Vitaの デザインにこめたものをお伝えしましょう。
まずバス通りに面してエントランスは造らず路地を歩きます。
路地は石畳でゆるやかに上り坂の勾配がついています。
マンションに入る時エントランスに下がって入るマンションもありますが、あれは駄目です。運気が下がります。
(運気という言葉を使うとちょっとマユツバみたいですが、気の流れとして例えば入口を下げると水が入りやすくなり、大雨の時に浸水します。
そして風は下から上に吹きますが下にある玄関は新鮮が風が入らないのでよどみます。)
そんな自然の理にかなった事からエントランスは地盤面から下げてはいけないのです。
La Bella Vitaの話に戻ります。
路地には昼間の顔と夜の顔をつくります。
これは照明による演出です。
壁にニッチという掘り込みをつくり石畳を照らすアッパーの照明を埋め込みました。
ニッチというのはイタリアの街角ではマリア様が微笑んでいる壁のくぼみです。
この日本のマンションにマリア様というのもなんですから、イタリアの鍛冶屋さんに手作りしてもらったアイアンの照明を入れました。
朝、会社に行く風景と夜、会社から戻った時に見る風景が劇的に変わる。
そんなマンションに住んでいると仕事のストレスも忘れさせてくれるはず。
照明計画の力は大きいです。
その路地を歩きアイアンの門扉を開けると中庭にでます。
中庭こそイタリア的マンションライフの必需品!
ここから先は次回にお届けします。
こんな風に無駄をたくさんつくった La Bella Vitaは
お蔭様で10年経っても満室経営です。