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課題:競合のマンションとの差別化を行い、家賃にふさわしい付加価値づくりを
何件も賃貸マンションを経営するオーナーからのご要望からスタートしたプロジェクト。
通常、10年もすると家賃を下げなくてはならない賃貸マンションを家賃を下げなくていいような物件にできないかというご相談でした。
場所は世田谷区経堂。地域柄、マンションの競合も多いエリアなので、周辺家賃に左右されない高付加価値で永く入居者に愛される賃貸マンションであるために、デザインの力が必要となりました。
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コンセプト:マンション全部があなたの部屋
賃貸マンションが10年もすると家賃を下げなくてはならのは、それだけにふさわしい魅力が少ないから。
通常、建蔽率・容積率いっぱいに消化しようとして効率優先で、特徴のない形になってしまうのが賃貸マンション。
このケースは、土地の形状が正方形に近いこと、そして角地であることからイタリアの街歩きのような楽しさを表現しようと考えました。
設計には、入江三宅設計事務所にご協力いただきました。
駅からその敷地にたどりつくと、まずは滝がお出迎えしてくれます。
その路地を歩き中庭を介して、その先に自分の部屋がある設計。
「マンション全部があなたの部屋」というコンセプトの通り、中庭も廊下の一角にあるコーナーも屋上庭園もすべて自由に使える部屋のように設計しました。
ワンルームの部屋は10坪ですが、建物すべてが、街中にいるような楽しさがあふれ、すべてが自分の家のように感じられるならば、家賃設定が相場より少々高くても借り手はきっといるはず。
そんな考え方でデザインがはじまりました。
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具体策:イタリアを基調に、人生を謳歌できるマンション
全室、防音を施し楽器が演奏できるマンションとしました。
地下には音楽室を設け、自由にピアノ(スタンウェイ製・常設)の演奏や仲間と楽器を持ち寄って演奏することができます。
また、中庭にはシンボルツリーを植え、水の音を楽しみながら季節の移ろいを感じることもできます。
1年に一度、中庭でコンサートやオペラを楽しむ夕べがあり、入居者同士のコミュニケーションの場ともなります。
石・アイアン・中庭の噴水のオブジェなどはイタリアから直輸入し、イタリアのような陽気さや空気の香りさえ伝わるような感動できるマンションを目指しました。
32戸の賃貸はほとんどがワンルーム。
すべての部屋に防音を施しており、バルコニーにウッドデッキをひいて部屋とレベルを合わせることで部屋の広がりを感じさせています。
ビニールクロスは使わず全室の壁は塗装白をベースカラーに、赤・グリーン・ベージュとアクセント色が3色あり、お風呂・パウダールームはゆったりした大きさにし満足度を高めました。
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結果:音楽演奏ができることに惹かれ、遠く埼玉から越してくる方もいらっしゃいました
La Bella Vita ラ・ベラ・ヴィータはイタリア語で「美しい人生」という意味。
音楽演奏が出来るため埼玉など遠方からわざわざ越してくる人もいらっしゃいます。
家賃設定はオープン当初から相場の1.5倍。10年たてば家賃を下げざるを得ない賃貸マンションの常識をこえて家賃を下げることなく10年が経過。
むしろ家賃を上げようかというオーナーさんの意向もあります。
入居者に感想を聞くと、「ゴミを捨てにいく時間も目が楽しめるマンション。」、「友人に自慢できるマンション」、「ずっとここに住み続けたい」10年たってもチープにならない本物の素材を使用していること。
そしてイタリアの街づくりのような楽しさをあらゆる場面にちりばめていること、まさに美しい人生を実現できるマンションを目指した結果だと思います。
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施工年 | 2005年 |
種別 | マンション |
業務内容 | グランドデザイン |
所在地 | 東京都世田谷区 |